皆さん、こんにちは。大賀幹夫です。私のウェブサイトをご覧くださり、ありがとうございます。ただいま、制作進行中です。

ここでは、私自身の「寝技との付き合い方」を通して、皆さんにお伝えしたいことを書いています。最後までお読みいただけたらうれしいです。

寝技との出会い

私は、大学生になって柔道を始めました。柔道界では非常に遅い部類です。私が入った九州大学の柔道部は「七大学柔道大会(七帝柔道とも呼ばれる)」での優勝を目指していました。この大会は戦前に開催されていた「高専柔道」の流れを受け継ぐもので、寝技が多く、15のチームで勝敗を決めるものです。私は寝技がとても性に合っていたので、学生時代は完全に寝技に没頭しました。

部活動では、自分が強くなるということはもちろん必要ですが、15人制という部員ほとんど全員で戦う団体戦だったため、後輩にも上達してもらう必要があり、後輩にも技をいつも説明していました。今考えると、私には、競技者として寝技が上達することが好きなだけでなく、人にコツを説明することもとても好きで、向いていたのだと思います。そして、それは寝技がベースとなる柔術を教えることになったときに、とても役に立ちました。

 

トップレベルの戦績を残せた理由
柔術の日本人競技者として、私は幸運にもトップレベルの戦績を残すことができました。それは、競技者として自分の練習もしながら、同時に指導者として、会員さんにも技の説明を毎日、毎日、続けたおかげです。このことで私は技術面で飛躍的に成長できました。自分のための練習だけをしていたら、私の身体的素質だけでは、とても世界レベルの実績は残せなかったと思います。

指導者として、タイプを大きく分けると、自分が教えられてきて、自分も続けていることをそのまま会員さんにも説明するタイプと、説明方法をどんどん新しくより良いものに変えていくタイプがいると思います。私は後者です。

 

プロのインストラクターとしての原動力
大学時代を思い返すと、多くの先輩方や関係者が技を教えてくれました。しかし、残念ながらそれらは私には分かりにくいものが多かったと言わざるを得ません。擬音や擬態語が多く、指示代名詞が多用され、最後は「回数をこなせ」と言われます。もちろん、先輩方はプロではなくアマチュアのボランティアとして、善意で教えてくださったので、それはしょうがないことです。

しかし、これが私にとって、プロの指導者として分かりやすく、効率の良い技の説明方法を模索し続ける原動力になりました。「もし大学生の私が今の指導者としての私に出会ったら、嬉しくて泣いてしまうような指導者になろう」という強い想いが私を支え続けています。他の方には「上達したいのに遠回りをせざるを得ないような過去の私」になって欲しくないのです。

 

すべての技と動きは言語化できる
私が自分ができる技を説明して、できない人がいると、徹底的にその原因を考えます。技や動きはすべて物理法則にしたがうものなので、できない場合は形がどこか違っているか、力のかけ方が間違っているかのどちらかです。原因の仮説を立てて、対策を考えて、やってもらって、上手く行けばそれでいいし、上手く行かなければ再度他の原因がないか考えます。この繰り返しです。

非常に地味で、お互いに時間と根気のいる作業ですが、その人に間違った動きを何度もやってもらって自然に動きが改善されることを期待するよりは、はるかに効率の良い作業です。

また、この作業で、私はその技をより深く理解することができます。無意識で技をかけてうまくいっても、それは応用が効きません。そして、自分より上手い人にはかかりません。意識的に技を深く理解すればするほど、原理原則を理解すると、応用を効かせることができますし、自分より上手い人にかからない理由が分かるので、対策も講じることができます。

これが、前に書いた、競技者と指導者を両立することで競技者としてトップレベルの戦績を残すことができた、ということの理由です。「すべての技と動きは言語化できる。だから人に説明することもできる」というのが私の信念です。なので、分からないことがあったら、徹底的に訊いて欲しいです。私のできる技術であれば、すべて理論でお答えします。

 

上達法の模索
技を理論的に説明するということと同時に、上達法も常により良いものを模索し続けています。私が10の時間とエネルギーをかけて身につけたようなことは、会員さんには1で身につけて欲しいと考えていますし、そうするための方法を常に考えています。そうして、あっさりと私ができなかったことをできるようになって欲しいし、見れなかった境地を見て欲しいのです。そして、良かったらそれを私に教えて欲しい。部分的に私を超えている会員さんはたくさんいます。そのことで私も学んでいます。

結局、技がまだできない会員さんは、私にその技の理解していない点を教えてくれますし、技が私を超えた会員さんは、私のできないことを教えてくれます。どちらにしても会員さんからは学ぶことばかりです。ありがたいことです。できれば会員さんにも、このような態度で寝技と付き合っていただければと思っています。

 

勝敗にこだわる必要はない
強くなって相手をやっつけることも良いことです。試合に勝つことを目指すのも良いでしょう。ただ、相手をやっつけることを喜ぶ価値観は、非常に狭いものです。それは同じ価値観を持った相性の良い人としかお互いには楽しめないでしょう。試合に勝つのも大変なことです。2人のうち1人は必ず負けます。トーナメントで優勝するのはたった1人です。また、試合は「単にどちらがそのルールに適用していた」を判定するにすぎません。

私は試合に強かった方なので言えることだと思いますが、試合に勝つかどうかは向き不向きが大きいです。プロでもない人が、過度に試合の勝敗こだわる必要はないと思います。

 

寝技を楽しんでください
試合に勝つには才能が必要ですが、寝技を楽しむことには才能はいりません。1ヶ月前の自分と比べて、上達したかどうかを考えて楽しむようにしてください。他の人と技を教え合うことを楽しんでください。質問ができるようになったら大きな前進です。一人の時間も、技を考えることができたり、一人打ち込みができるようになったら大きな進歩です。是非楽しんでそれをしてください。スパーリングも、お互いに技の交換をするということを楽しんでください。上級者や大きい人はそうなるよう配慮して下さい。

皆さんが寝技を継続することで、身体の調子が良くなって、心もスッキリする時間が増えたら、私にとってそれこそが一番うれしいことです。